yon-1997’s blog

架空地図と社会学的想像力とその他

【架空地図制作期#10】創作における名前の被りについて

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架空地図も創作なので、小説や漫画といった物語の一次創作と同じような悩みが生まれます。

それは、名前の被りです。

地図であれば、名前は主に地名や学校名、団体名です。

 

物語の登場人物の名前は、時に奇をてらったものになりますよね。

園崎魅音(『ひぐらしのなく頃に』)とか五月七日くみん(『中二病でも恋がしたい!』)とか暁美ほむら(『魔法少女まどか☆マギカ』)とか、苗字、名前、またはその両方が、他の作品とは被らないであろうものになっています。

 

その一方、現実にいてもおかしくないような名前を採用している例も多いです。

堀政行(『月刊少女野崎くん』)、越谷夏海(『のんのんびより)、佐藤潤(『WORKING!!』)あたりは、同姓同名がある程度いそうな気がします。それくらい思いつきやすそうな名前ですが、新たに物語を書き起こそうとした時には、パクリを疑われないように、もう使うべきではないかもしれません。

 

地名については、一つの鉄道会社の駅名を考えるくらいなら全てオリジナルで揃えることもできるかもしれませんが、私のように一つの国を丸ごと考えるとしたら、確実に現実や創作物の地名と被ります。

とはいえ、現実でよくある地名を取り入れることで、リアリティを高めることが可能です。見附、追分、赤坂、大久保などは日本国内のどこにでもある地名ですので、架空地図でもちょこっと取り入れていいのではないかと思います。

逆に指宿や釧路、城崎などは現実で非常に特徴的な地名なので、架空地図にいれるとなるとパクリを疑われて怖いですし、自分の架空地図という作品に愛着が持ちにくくなってしまいます。

 

物語の例でいえば、『月刊少女野崎くん』は日常系の学園ものであり、高校の部活の部長というキャラクターには、堀政行という名前はリアリティがあり、ドンピシャな気がします。

(リアリティを高めることが全てとも思わないです。あくまで一つの価値観としての意見です。)

 

地名や登場人物には、時に、リアルと奇抜の中間くらいの、“ちょうどいい”かっこいい名前があります。

佐倉杏子(『魔法少女まどか☆マギカ』)、高槻よしの(『放浪息子』)、利根川幸雄(『賭博黙示録カイジ』)あたりが個人的には“ちょうどいい”ものです。リアルから少しハズれた名前が、日常から少しはぐれた作品にはぴったりなのです。

地名だったら、直江津(新潟県)、大垣(岐阜県)、宇多津(香川県)あたりが“ちょうどいい”です。

“ちょうどいい”とは、声に出したらシャープで気持ちの良いものだともいえます。繰り返しになりますが、あくまで個人的な感想です。

 

さてここまでをまとめると、

名前にはリアル、ちょうど、奇抜の3つがグラデーションのように存在しており、登場人物の境遇によってうまく使い分けられると理想的なのです。さらにこのグラデーションは、被りやすさのグラデーションにもなっており、リアルなものほど被り、奇抜なものほど被りません。

これを地名にも当てはめてみます。

 

現実の地名を考えた時に、首都圏はかなりリアルな地名(現実のものにリアルもへったくれもないんですけど)が並んでおり、北海道や東北、南九州には奇抜な地名が、名古屋や大阪、福岡にはちょうどいい地名が多いような気がします。

 

リアル→新宿、横浜、千葉、高崎、立川、小山

ちょうど→豊橋、多治見、長浜、日根野加古川

奇抜→稚内、留萌、雫石、姶良、指宿

 

あたりです。

 

もちろん、首都圏にも日暮里とか追浜とかいう奇抜な地名から籠原、黒磯といったちょうどな地名もありますし、南九州にも宮崎とか山川とかリアルなものがあります。要はバランスが重要です。

ここも個人的な意見というかポイントなんですが、首都圏や都市部ほどリアルな地名を取り入れ、そうしたところから離れたところで奇抜な地名を増やし、“ちょうどいい”地名を散りばめてあげることで自然になります。

 

私は物語を書いたことがないのでこんなことを言う立場にはありませんが、日常系の作品ほど、被りそうなくらいリアルな名前を使い、被ったとしてもなんのその、むしろ被ることが日常系という枠組みを強調させられると考えて良いのではないでしょうか。逆に日常から離れるに従って、登場人物の名前を奇抜にしていくのが良いのではないでしょうか。

 

同様に、リアルな地名は現実との被りをある程度許容し、奇抜な地名や“ちょうどいい”地名をオリジナリティあふれるものにしていければいいかなと思います。